2025.05.07
A. 伝染性紅斑は「ヒトパルボウィルスB19」というウィルスによる感染症で、感染した人の咳のしぶき(飛まつ)を吸い込むことによる感染(飛まつ感染)や、感染者と接触したりすることによる感染(接触感染)により感染します。両頬がリンゴのように赤くなることから、「りんご病」と呼ばれることもあります。
①症状
約10~20日の潜伏期間の後、微熱やかぜの症状などがみられ、この時期にウイルスの排出が最も多くなります。その後7~10日くらい経ってから、両頬に紅斑が現れます。(発しんが現れたときにはウイルスの排出はほとんどなく、感染力もほぼ消失しています。)
成人では関節痛を伴う関節炎や頭痛などの症状が出ることもありますが、ほとんどは自然に回復します。
②予防と対策
伝染性紅斑を予防するワクチンや薬はありません。
伝染性紅斑の家族がいる場合や、流行している地域で多くの小児と接する機会がある職業の方などは特に注意が必要です。かぜ症状がある方との接触をできる限り避け、手洗いやマスクの着用などの基本的な感染予防を行うことが重要です。
③妊娠中の注意事項
これまで伝染性紅斑に感染したことのない妊婦さんが伝染性紅斑に感染すると約2~3割は胎児に感染し、胎児水腫・胎児貧血などの重篤な状態や、流産のリスクとなる可能性があります(特に妊娠12週~20週頃は要注意です)。妊娠20週以降は感染しても胎児に影響が出るリスクはだんだん低下し、妊娠28週以降はほぼ心配なくなります。
妊婦さんご自身が過去に伝染性紅斑にかかった既往がある場合はパルボB19ウイルスに対する抗体ができているため、通常は新たに感染する可能性はありません。感染の既往が分からない方や抗体があるか調べておきたい方は当院でも抗体検査を行うことができます。