Q.百日咳の予防ワクチンについて教えてください。

2025.05.07

A.百日咳は百日咳菌によって発生する、名前のとおり激しい咳をともなう病気です。主に気道の分泌物によってうつり、咳のために乳幼児では呼吸ができなくなるために全身が青紫色になってしまうこと(チアノーゼ)やけいれんを起こすことがあります。百日咳にかかった場合、一般に0.2%(月齢6か月以内の場合は0.6%)のお子さんが亡くなってしまうといわれており、乳幼児期のワクチン接種による予防が重要です。

日本では、乳児への百日咳含有ワクチンの定期接種が生後2か月以降に実施されていますが、ワクチン接種前の乳児への感染例が多く、またその重症化が問題となっています。

欧米諸国では、妊娠後期の妊婦に百日咳含有ワクチン(Tdap)を接種することで母体から乳児への移行抗体を増加させ、乳児の重症化を防ぐいわゆる「母子免疫ワクチン」が推奨されていますが、日本ではTdapは認可・販売されていません。そのため、代替策として3種混合ワクチンDTaPを妊婦さんに接種することが可能です。(最近の研究により、妊婦へのDTaP皮下接種の安全性と乳児への百日咳に対する抗体移行が確認されています。ただし、現時点では妊婦へのDTaP皮下接種による乳児百日咳の重症化予防効果は証明されていないことをご留意ください。 )

【接種時期】アメリカのガイドラインでは妊娠27~36週、イギリスのガイドラインでは妊娠16~32週、オーストラリアのガイドラインでは妊娠20週以降(理想は28週前後)にTdapワクチンを接種することが推奨されています。

【接種回数】1