2021.03.22
A.人間の遺伝子や染色体を細かく調べると、遺伝子の変異や染色体の不分離などは誰のからだにも存在すると言われています。出生する児の3~5%が先天性疾患を有すると言われていますが、その原因は下記の4つに大別することが出来ます
(1)多因子遺伝(先天性疾患の約50%):口唇口蓋裂、特定の心奇形、神経管奇形など
(2)染色体異常(先天性疾患の約25%):21トリソミー(ダウン症候群)、ターナー症候群など
(3)単一遺伝子の変異(先天性疾患の約20%):7,000種類以上の疾患があります。
(4)環境・催奇形因子によるもの(先天性疾患の約5%):先天性ウィルス感染症など
出生前検査といっても色々なものがあり、超音波検査によるスクリーニングも一種の出生前検査と言えますが、世間でいわゆる「出生前診断」と呼ばれているものは、染色体異常について調べる検査を指す場合がほとんどです。
出産時の年齢に関しては、時々「35歳以上だからダウン症が心配」と誤解されている方がおられますが、35歳を超えたらダウン症の頻度が急に上がる訳ではありません(ダウン症の頻度は20歳で約1/1500、30歳で約1/840、35歳で約1/350、40歳で約1/100です)。 出生前検査に関しては倫理的な課題も多く、日本では医師の側から検査を勧めるとか勧めないということはありません。あくまで妊婦さんとご家族で話し合って判断していただく形になります。(統計的には、出生前検査を受ける妊婦さんの割合は1~2%程度と言われています。)