妊娠中のQ&A

妊娠中の生活について

  • Q.妊娠中の過ごし方について教えてください。

    A.基本的には、妊娠の経過に異状がない限りふだんの生活をかえる必要はないと思っています。
    なるべく規則正しい生活をする。睡眠、休息は充分とる。
    適当な運動はむしろ積極的に取り入れる、但し疲れを翌日にまで持ち越さない。
    片寄った食事をしない。芸術を楽しみ、心安らかな毎日を送る様心掛ける。
    ごく常識的なことですが、これが100%実行できれば理想的でもあるでしょう。

  • Q.妊娠中に重いものを持っても大丈夫でしょうか?

    A.重いものを持ったからと言って流産するとか早産になるという事はありません。ただし、たとえば引っ越しの時に荷物を運ぶような、重いものを何回も運んで行ったり来たりするような作業は避けた方がいいでしょう。

  • Q.妊娠中にも運動をしたほうが良いのでしょうか。

    A.妊娠中は運動不足になりやすいと言われています。運動不足だと、どうしても体重が増えてきたりしますので、適度に運動をするのが良いでしょう。といっても、急激に力を入れる運動、からだの接触を伴う運動や、過度の有酸素運動はあまり勧められません。ウォーキング、スイミング、ヨーガなどはおすすめです。

  • Q.妊娠中に髪を染めても大丈夫ですか?

    A.特に問題ありません。

  • Q.妊娠中にネイル(爪の装飾)をしても大丈夫ですか?

    A.大丈夫ではありますが、何かあった際(緊急手術など)に手の爪に酸素飽和度を計測するモニターを装着することがあるので、すぐに外せるものにするか、一本の指は何もつけないでおく方が安心ではあります。出産が近づいてきたら(妊娠36週以降)はずしておいた方が良いです。

  • Q.妊娠中に自転車に乗るのはだめでしょうか?

    A.「自転車に乗ってもいいですか?」とよく質問されます。上のお子さんの送迎などで自転車を使用される方が多いと思います。そういう質問を受けた場合、ふだんは「初期のうちは大丈夫ですが、お腹が大きくなってバランスがくずれる恐れが出てきたらやめましょう」と答えています。ただし、自転車で転倒したり事故にあったりされるかたも時々いらっしゃいますので、十分に気を付けてください。

  • Q.妊娠中に旅行はできますか?

    A.妊娠経過・体調に問題が無ければ、妊娠16週~28週ぐらいまでの国内旅行なら差支えないと思います。(もちろん、切迫早産の徴候があるときや胎盤の位置が低い場合など、安静が必要な場合は絶対に禁止です。また、あまり早い時期はつわりや流産などの心配もあるためお勧めしません。)
    温泉に入るのは大丈夫ですが、サウナはやめておいたほうが良いです。
    海外旅行は、長時間の飛行機搭乗による血栓症のリスクや、万が一渡航先で異常があった場合のリスクを考えるとお勧めできません。
    いずれにしても、旅行する場合は日程・時間の余裕を持ち、長時間の歩行など無理をしないように注意してください。

  • Q.虫歯ができてしまいましたが、妊娠中に治療できますか?

    A.妊娠中は歯周病が増悪しやすいと言われています。虫歯の治療も早めにされることをお勧めします。局所麻酔も大丈夫です。お薬に関しては、抗菌薬は「セフェム系」「ペニシリン系」「マクロライド系」、鎮痛薬は「アセトアミノフェン系」が比較的安全です。

  • Q.風邪をひいてしまいました。抗生物質や解熱剤を内服しても大丈夫ですか?

    A. いわゆる「風邪」はウィルス感染によることが多いので抗菌薬は効果がありませんが、黄色・緑色の痰や鼻汁が出る場合は細菌感染が疑われるので抗菌薬の効果があります。解熱剤に関しては「アセトアミノフェン系」の解熱剤は妊娠中でも比較的安全に使用できます。咳止めや去痰剤などの対症療法もよくおこないます。市販薬を購入する場合は、薬局の薬剤師さんによくご相談ください。

  • Q.妊娠したことを親戚や職場の人に告げるのはいつ頃がいいですか?

    A.特に「いつがよい」という決まりはありませんが、流産の危険性が低くなるのは妊娠12週以降です。

  • Q.高齢出産になるのですが、出生前検査を受けた方が良いのでしょうか。

    A.人間の遺伝子や染色体を細かく調べると、遺伝子の変異や染色体の不分離などは誰のからだにも存在すると言われています。出生する児の3~5%が先天性疾患を有すると言われていますが、その原因は下記の4つに大別することが出来ます

    (1)多因子遺伝(先天性疾患の約50%):口唇口蓋裂、特定の心奇形、神経管奇形など

    (2)染色体異常(先天性疾患の約25%):21トリソミー(ダウン症候群)、ターナー症候群など

    (3)単一遺伝子の変異(先天性疾患の約20%):7,000種類以上の疾患があります。

    (4)環境・催奇形因子によるもの(先天性疾患の約5%):先天性ウィルス感染症など

    出生前検査といっても色々なものがあり、超音波検査によるスクリーニングも一種の出生前検査と言えますが、世間でいわゆる「出生前診断」と呼ばれているものは、染色体異常について調べる検査を指す場合がほとんどです。

    出産時の年齢に関しては、時々「35歳以上だからダウン症が心配」と誤解されている方がおられますが、35歳を超えたらダウン症の頻度が急に上がる訳ではありません(ダウン症の頻度は20歳で約1/1500、30歳で約1/840、35歳で約1/350、40歳で約1/100です)。 出生前検査に関しては倫理的な課題も多く、日本では医師の側から検査を勧めるとか勧めないということはありません。あくまで妊婦さんとご家族で話し合って判断していただく形になります。(統計的には、出生前検査を受ける妊婦さんの割合は1~2%程度と言われています。)

  • Q.乳房や会陰のケアはいつごろから始めればよいですか?

    A.乳房に関しては、妊娠16週ぐらいから手入れをして哺乳の準備をすることをお勧めします。具体的な方法に関してはプリントを用意してありますので、外来受診時にご相談ください(とくに扁平乳頭・陥没乳頭の方)。 会陰のマッサージは妊娠36週ぐらいから始めておくと、会陰が柔らかくなって出産の際に裂傷が少なくなると言われています。具体的な方法については、こちらもプリントを用意してありますので、外来受診時にご相談ください。

妊娠中の食事と栄養について

  • Q.妊娠中の食生活について教えてください。

    A.栄養のバランスに気をつけ、かたよった食生活をしないようにしましょう。一般的に妊娠中に必要とされるカロリーの量は妊娠前より増えるとされています(妊娠初期は+50Kcal、中期は+250Kcal、後期は+450Kcal)。たんぱく質・鉄分・カルシウムなどが不足しないように気を付けましょう。母子手帳に目安となる食事摂取量のガイドが書いてありますので参考にしてください。
    妊娠初期のつわりの時期は無理して食べる必要はありません。妊娠後半になると一度にたくさん食べられなくなりますが、その場合は1回の量を減らして回数を分けて食事をとるとよいでしょう。
    〈糖質の摂取について〉妊娠すると「耐糖能」が低下し、糖質を摂りすぎると妊娠糖尿病を発症しやすくなります。したがって、糖分の入ったジュースや菓子類、果物はあまりとらない方がよいです。炭水化物(お米・麺類)にも糖質が多く含まれているので、糖質は控えめにした方がよいでしょう。
    〈塩分の摂取について〉妊婦の適切な塩分摂取量は1日あたり10g程度と言われています。妊娠高血圧症の場合は更に塩分を控える必要がありますが、1日あたり7-8gは必要です。(過度な制限は良くありません。)

  • Q.妊娠中の体重の増加はどのぐらいまで大丈夫ですか?

    A.妊娠中の至適体重増加量は、妊娠前の体重によって異なります。「BMI(Body Mass Index)」という、体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数値で区分すると、「BMI18.5以上25未満」が標準型、「BMI18.5未満」がやせ型、「BMI25以上」が肥満型とされています。
    妊娠中の増加体重の目安は、標準型の場合は10~13㎏、やせ型の場合は12~15㎏、肥満型の場合は7~10㎏(※BMI30以上の方は個別対応)です。

  • Q.妊娠中に食べないほうが良いものはありますか。

    A.「妊娠中だから絶対に食べてはいけない」という食べ物はありませんが、避けた方がよい食べ物はいくつかあります。

    ①「生肉」(馬刺し・生ハム・生サラミなど)はトキソプラズマ感染のリスクがゼロではないため避けた方が無難です。(但し、生焼けの肉を少し食べたからといって直ちにトキソプラズマ感染の危険が高まるということではありません。)

    加熱していないチーズなども避けたほうが良いと言われています。

    ②「生魚」に関しては別の質問(Q.妊娠中にお刺身を食べても大丈夫ですか?)をご参照ください。

    ③「乳製品」に関しては、リステリア菌感染の予防という観点から、加熱殺菌していないナチュラルチーズは避けた方が無難です。かつては生まれてくる子どものアレルギー発症予防のため牛乳や生卵を摂取しない方がよいと主張している研究者もおりましたが、最近の研究結果ではそれらを摂取しても子どものアレルギー発症予防の効果は無いと結論が出ています。

    ④「生野菜・果物」は、よく洗って食べれば問題ありません。

  • Q.妊娠中にお刺身を食べても大丈夫ですか?

    A.魚に関しては生魚(刺身・寿司)でも大丈夫です。ただし、マグロやカジキなどの大きな魚の一部は水銀の含有量が多いので、週に何回も食べるのは辞めたおいたほうが良いです。詳しくは厚生労働省のホームページをご参照ください。(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/051102-2a.pdf)。

  • Q.妊娠中に摂取した方がよいサプリメントはありますか?

    A.バランス良く食事がとれていれば、特に追加でサプリメントを摂取する必要はありませんが、各個人が食事で不足しがちな場合は水溶性ビタミンやカルシウム・鉄分などのサプリメントを常用量で摂取する分には問題ありません。ただし、一部の脂溶性ビタミンやポリフェノールは過剰摂取すると胎児に悪影響がある場合がありますのでご注意ください。
    ※葉酸に関しては、欧米での疫学的な研究の結果、「妊娠を希望する女性が妊娠する1か月以上前から1日0.4㎎の葉酸を摂取した場合に胎児の神経管閉鎖障害(二分脊椎など)の発症リスクを集団として低下させる」ということがわかりました。日本人での大規模研究データはありませんが、二分脊椎の発症率が出生1万に対し6例程度なので、リスクを25%低減させると仮定すると出生1万に対し4例の発生になると考えられます。ただし、神経管閉鎖障害の発症要因は多因子によるものであり葉酸不足だけが原因ではありませんので、葉酸を摂取したからと言って必ず神経管閉鎖障害を予防できるわけではなく、また葉酸を摂取していなくても99.9%以上は神経管閉鎖障害にはならないことにご留意ください。

  • Q.コーヒーや紅茶などのカフェイン含有飲料を飲んでも良いですか?

    A.妊娠中のカフェイン摂取と胎児への影響に関しては明確なデータはありませんが、海外での一部の研究では多量のカフェイン摂取が胎児の発育に影響するという研究結果もあります。どれぐらいまでなら大丈夫と言う明確な基準値はありませんが、カップ一杯140mlとして、コーヒーなら1日約2杯、紅茶なら1日4~5杯程度なら問題無いと考えられています。(※それ以上飲むとただちに胎児に有害であるというわけではありません。)

  • Q.妊娠中にお酒を飲むことや、たばこを吸うことは禁止ですか?

    A.母体や胎児に悪影響が出る可能性があるので、妊娠中の飲酒・喫煙は禁止です。

    妊娠中にアルコールを継続して摂取した場合、胎盤から胎児に移行して発育不全や神経系の発達障害などを起こすリスクがあります。 妊娠中の喫煙は、流早産・母体高血圧・胎盤早期剥離などの母体合併症や、胎児の発育不全・形態異常・死産などを起こすリスクが高まります。
    ただし、妊娠に気付かないごく初期に飲酒してしまった、喫煙していた、ということに関してはそれほど心配する必要はありません。気づいた時点でやめれば大丈夫です。

妊娠中におきる色々な症状について

  • Q.少量の出血や茶色いおりものがでるので心配です。(※妊娠初期)

    A.妊娠初期に少量の出血や茶色いおりものが出ることは、正常の経過でもよくありますので、特に心配はありません(多少のおなかの痛みも心配ありません)。そのような症状を認めた場合は、安静にして経過を観察していただいて大丈夫です。

    月経の多いときぐらいの多量の出血や激しい下腹痛を伴う場合は「不全流産」の可能性があり、早めに処置を行うこともあります。また、健診で子宮の中に「胎嚢」が確認できていない場合は、異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性もありますので早めに外来を受診してください。 ※出血の有無にかかわらず、妊娠した方の約15%(7人に1人)は流産になると言われています。(胎児の心臓が止まって成長も止まっているのに何の症状もない場合は「稽留流産」とよびます。)流産になるケースのほとんどは受精卵に染色体などの異常があるといわれていますので、薬や処置でおさえることはできません。

  • Q.なんとなく下腹部が重だるいのですが大丈夫でしょうか?(※妊娠初期)

    A.「下腹部の重い感じ」「なんとなく張っている感じ」というのも妊娠初期に特有の症状です。激しい痛みや、出血を伴う強めの痛みが無ければさほど心配はありません。

  • Q.つわりがひどいのですが、どうしたらよいでしょうか。

    A.妊娠初期は、ホルモンの影響で「つわり」の症状が出てきます。

    つわりの程度は人それぞれで、全く平気な場合もあれば、何回も嘔吐してしまう場合もあります。

    つわりの時期には、基本的には食べたいもの、飲みたいものを摂取していれば大丈夫です。
    食べたいものが無い場合は無理に食べる必要はありませんが、水分はとっておいた方が良いです。

    頻回の嘔吐により体重が10㎏近く減ってしまう、脱水症状で動くのもつらいという場合には、水分とビタミンの補給のための点滴が必要な場合もあります。 重症の場合は入院が必要ですが、その場合は近隣の総合病院などにご紹介します。

  • Q.食後に胸やけがします。

    A.妊娠中は、①食道の括約筋の緊張が低下すること、②ホルモンの影響で食物が消化管を通過するのに時間がかかること、③子宮が増大して胃を圧迫することなどが原因でいわゆる「胸やけ」や胃部の不快感を感じることが多くなります。生活上の対処法としては、脂質やカフェインなどの摂取を減らすこと、寝るときに上半身を少し起こすか左下側臥位で寝ること、就寝前の2~3時間には食事をとらないようにすること、腹部を締める服を着ないこと、などがあります。これらの対処法をおこなっても症状が改善しない場合は消化を改善する胃薬などを処方しますので、健診の際にお申し出ください。

  • Q.お腹の張りが心配です。(※妊娠中~後期)

    A.正常な経過でも、妊娠中期から1日に数回程度の「おなかの張り」(子宮の収縮)はあります。
    ただし、その感じ方は人それぞれですので、全く気にならない人もいれば、しょっちゅう張っているような気がしてしまう人もいます。「切迫早産」といわれる、早産の心配があるような「張り」は、つぎのような場合です。

    ・1時間の間に何回もお腹が張る場合。また、それが休んでもおさまらない場合。

    ・おなかの張りとともに、痛みを感じる場合。

    ・性器出血がある場合。 このような場合は外来受診してください。(仮にお仕事中でも、夕方まで我慢したりせずにすみやかに受診してください。)

  • Q.「さかご」が治るのか心配です。

    A.一般に、妊娠30週の時点で「逆子(さかご)」(骨盤位)のケースは15-30%ですが、そのうち9割は頭が下に回ると言われており、妊娠末期まで「逆子」なのは5%前後です。
    当院では、妊娠32週前後で「逆子」が治っていない場合には「胸膝位」という、「逆子が治りやすい」といわれている姿勢をとることをお勧めしています(ただし、効果ははっきりしていません))。

    それでも「逆子」が治らない場合は、「外回転術」といって妊婦さんのおなかの上から用手的に胎児を回転させる方法もありますが、胎児心拍の悪化や胎盤早期剥離といった合併症の危険もあり、成功率は5割ぐらいです。 妊娠末期(37週以降)まで「逆子」が治らなかった場合、当院では帝王切開による分娩にしています。

  • Q.友人に「おなかが小さい」「おなかが下がっている」と言われましたが大丈夫でしょうか。

    A.よく、お友達に「おなかが小さいね」とか「おなかが下がっているね」などと言われて心配になって相談される妊婦さんがいらっしゃいます。おそらくそのお友達は悪気があって言っているのではなく、あくまでもご自分のときの経験や数少ない周りの妊婦さんの見た目と比較しておっしゃっているだけと思いますので、気にする必要はありません。その人の身長や元の体重によってもおなかの目立ち方は異なりますし、同じ身長でも妊娠中のおなかの出方や人それぞれです。

    なお、産婦人科医でも服を着た妊婦さんのおなかを見て「週数に比して大きいか小さいか」を正確に判断するのは難しいですし、同様に「赤ちゃんの位置が下がっているか、下がっていないか」を判断することもできません。 (ご自分が出産された後にお知り合いの妊婦さんに同様のことを言うのはやめた方がいいでしょう。)

  • Q.腰痛がでてきましたが、何か対処法はありますか?湿布を貼ってもよいですか?

    A.妊娠すると、出産に備えてホルモンの影響で骨盤の靱帯が緩むため、腰痛が起きやすくなります。さらに、赤ちゃんが大きくなるのにともなって重心が前に移動するため、お母さんの背骨や骨盤にかかる負担も徐々に大きくなってきます。ご自分でできる予防法としては、①なるべく上体を反らさずにまっすぐの姿勢を心がけること、②長時間立ちっぱなしや座りっぱなしなどの腰に負担をかける行動を避けること、③ストレッチやヨーガなど適度な運動を行うことなどがあります。また、骨盤を支える妊婦さん用のベルトも腰痛防止に効果がありますので着用をおすすめしています。マッサージや鍼灸などを受けていただいても構いません。 ※湿布に関しては、「非ステロイド系抗炎症薬」が含有されているもの(インドメタシン、ロキソプロフェン、フェルビナクなど)は胎児の血管に悪影響がありますので使用しないでください。使用しても比較的安全といわれているのは「サリチル酸」系を主成分とした湿布です。市販の湿布を購入する場合は、上記のことをふまえて薬剤師さんに相談して購入されることをおすすめします。

  • Q.足のむくみや静脈瘤が気になります。

    A.妊娠後期になると循環血液量が増えるため、どうしても身体がむくみやすくなります。また、子宮が大きくなって静脈の流れが悪くなるので足のむくみや静脈瘤も起きやすくなります。予防法・対処法としては、①日ごろから適度な運動をおこなうこと、②長時間の座位や立位は避けること、③加圧式のストッキング(弾性ストッキング)を着用することなどがあります。 足が腫れたり強い痛みを感じたりする場合は静脈血栓症の可能性もありますので医師にご相談ください。

  • Q.足がつりやすいとき(こむら返り)の対処法について教えてください。

    A.一般的には、「こむら返り」は脱水や電解質のバランスの異常、運動不足によって起こると言われています。妊娠中は子宮が増大するので足の筋肉に負担がかかりやすく、静脈やリンパの流れがうっ滞しやすいためこむら返りが起きやすくなります。カルシウム不足も一因です。対処としてはやはり適度な運動や水分摂取が大事ですが、かなり頻繁に足がつって悩んでいる方には「芍薬甘草湯」という漢方薬が効果がありますので処方しています。

  • Q.胎動が少ないのが心配です。

    A.胎動はだいたい妊娠20~22週ぐらいから感じ始めることが多いですが、最初はなかなか胎動を感じにくいという方もいます。また、仕事中や活動しているときは何時間も胎動に気づかないこともあります。その場合は以下の方法で胎動を数えてみてください。
    赤ちゃんが起きている場合は、「横になって安静にした状態」で30分間におよそ10回以上の胎動を感じれば正常です(妊娠36週まで)。妊娠37週以降はもうちょっと少なくなります。ただし、おなかの中の赤ちゃんも寝たり起きたりしていますので、30分待って胎動が少なめと感じた場合はもう30分間胎動を数えてみてください。

  • Q.突然、多量の出血と激しい腹痛がおきました。(※妊娠中~後期)

    A.「常位胎盤早期剥離」という、胎盤がはがれてしまい胎児の生命にかかわる状態の可能性があります。ただちに病院を受診してください。

妊娠と感染症

  • Q.妊娠中にインフルエンザのワクチンを接種することはできますか?

    A.妊娠中のどの時期でも、インフルエンザの予防接種は可能です。かつては、「チメロサール」という水銀成分の防腐剤が入っているワクチンは妊娠中には接種しない方が良いと言われていた時期もありましたが、チメロサール自体の濃度はごく微量であり胎児に影響を与えることはないので、接種可能です。 なお、当院ではインフルエンザの予防接種はおこなっていませんので、お近くの内科のクリニックなどで予防接種をお受けください。

  • Q.もし妊娠中にインフルエンザにかかってしまった場合はどうすればよいでしょうか。

    A.インフルエンザの流行期にはマスクや手洗いなどの一般的な感染予防対策が大事ですが、もしインフルエンザにかかってしまった場合でもタミフルなどの抗インフルエンザ薬は服用可能です。

  • Q.妊娠中に風疹の予防接種をすることはできますか?

    A.風疹の予防接種は生ワクチンのため、妊娠中に接種はできません。ご自分が風疹の抗体を持っているかどうかは妊娠初期に検査を行います。ご自分が小さいころにワクチンを接種したかどうかはご自分の母子手帳に記録があると思います。抗体を持っていない場合は、ご主人さんなどのご家族に予防接種を受けておいていただくのも一つの方法です。(1979年~1987年生まれの女性は個別での予防接種だったため、予防接種を受けていない可能性があります。また、1979年以前に生まれた男性は風疹の予防接種制度の対象外でした。)なお、予防接種を受けても必ず抗体ができるわけではないので、「ワクチンをうったのに抗体ができなかった」という方もいます。

  • Q.生肉を食べてしまいましたが、トキソプラズマの感染が心配です。

    A.トキソプラズマという原虫は、ユッケ・生ハム・サラミなどの加熱していない肉や十分に洗っていない野菜などを食べたとき、素手で土いじりをしたとき、新たにネコを飼い始めたときなどに感染する恐れがあると言われていますのでお気を付けください。ただし、先天性トキソプラズマ症の出生数は1万人あたり1~10人ぐらいですので、ちょっと生焼けの肉を食べたからといって必要以上に心配する必要はありません。

  • Q.上に小さいきょうだいがいる場合や、小さい子供と接する仕事をしている場合に気を付けた方がよいことはありますか?

    A.小さいお子さんの尿や唾液に感染の原因となるウィルス(サイトメガロウィルスなど)が含まれていることがあります。おむつ交換のあとや鼻水・よだれを拭いたあとなどはなるべく早めに手を洗うように心がけましょう。また、お子さんの食べ残したものを食べるのはやめておいた方が無難です。(ただし、尿や唾液からの感染予防をおこなわなかったとしても実際に感染するのは1~2%です。もともとご自分に抗体があれば感染は起こりません。)

    詳しくは以下のサイトなどをご参照ください。(注;古い情報では「お子さんの唇や頬にキスをしないこと」と記載されていますが、やりすぎると母子の愛着形成によくないとの批判があり、現在は「唾液接触を避ければよい」とされています。)

    http://cmvtoxo.umin.jp/public_02.html

    https://www.med.kobe-u.ac.jp/cmv/pdf/pnf5.pdf

  • Q.クラミジアについて教えてください。

    A.クラミジアは妊娠初期に検査を行い、陽性の場合は抗菌薬を内服して治療します。その場合パートナーの方も同時に感染していることが多いので、泌尿器科などで検査・治療していただくのをお勧めしています。

  • Q.B群溶連菌感染の予防について教えてください。

    A.妊娠後期に腟口周辺からB群溶連菌という細菌の保菌検査をおこないます。この菌が陽性の場合2%ぐらい赤ちゃんに産道感染することがあり、時として肺炎や髄膜炎などの症状を起こす可能性があるため、分娩の際にお母さんに抗菌薬の投与(点滴)を行います。

  • Q.妊娠中に新型コロナウィルスに感染した場合どうなりますか?

    A.妊娠中に新型コロナウィルスに感染した場合のリスクは、同年代の妊娠していない女性と変わらないとされています。ただし新型コロナウィルスに限らず呼吸器感染症にかかった場合は、特に妊娠後期は重症化する可能性があるため注意が必要です。

  • Q.妊娠中に新型コロナウィルスのワクチンを接種することはできますか?

    A.妊娠中でも新型コロナウィルスワクチンの予防接種は可能です。
    アメリカで新型コロナウィルスワクチンを接種した約3万5000人の妊婦さんの追跡調査では、副反応の頻度は妊娠していない女性と同程度であり、流産や死産、早産などの頻度は一般的な妊婦さんと比べて上昇しないことが報告されています。また、新型コロナウィルスワクチンを予防接種した妊婦さんの臍帯血や母乳中にも新型コロナウィルスの抗体があることが確認されており、新生児への感染予防効果も期待されています。
    なお、ワクチンの副反応で発熱や頭痛が出た場合は「アセトアミノフェン系」の解熱鎮痛剤(カロナールなど)は服用可能です。